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米民主党悪玉論の矛盾(米国の左右対立と人種構成比)

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アメリカの現在の人種構成は非白人が40%、白人が60%という比率になっている。
(2024年に20歳以下で、2040年代には全人口で白人はマイノリティーになる)

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BBC NEWSより引用

www.bbc.com

既得権者は白人であるが、人口比で過半数にまで近づいた非白人はその数のぶんだけ社会での発言力を高めるから、(雇用面、教育面などでの)権利拡大や差別撤廃を求めるし、そのことによって、白人は自分たちの既得権益を失うことになるのだから、(差別意識のある人が多い)白人と衝突することになるのはごく自然である。

日本における非日本人(在日外国人)の人口比は2%に過ぎないが、日本でも右の一部の人たちが在日外国人が優遇されていると抗議デモなどで反発を強めているのを見れば、米国の40%という比率がいかに高いものなのかが分かるだろう。

つまり米国内の白人と非白人の対立は、人種構成比の変化によって起きる不可避の出来事なのである。このことは10年以上前から伊藤貫氏が指摘し続けてきた(米国内の学者や米政府高官にも同様の指摘をしてきた人がいる)。

 

 そして、連邦議会議員たち(※日本の国会議員にあたる)は、当選することを第一の目的にしているから、政党として非白人の権利拡大を政策を掲げる民主党の議員たちはBLMを支持したり、人種差別的なトランプを批判することによって非白人の支持をより得ようとするし、逆に白人の権益保護を訴えるトランプが、(陰謀論を使ってまで必死に)民主党を悪魔化したり、BLMを批判したりして白人の支持を得ようとすることも当たり前のことである(リベラル政策の民主党を攻撃し悪魔化すればするほど、白人の敵意は強化されるので、白人からの支持を強固なものにできる)。

つまり民主党の議員たちのリベラル的政策や主張は、中共もしくは「世界を支配するユダヤ陰謀めいた組織」によって支配されているせいなのではなく、人口比で40%にまでなった非白人の米国民の票を得ようとするごく当たり前の行動なのである。

またヒスパニック系の移民(※ヒスパニック系の人口の伸び率が最も高い)が増加した原因は、民主党が自分たちの支持を広げるため(移民が増えるほど、選挙で民主党に有利になる)と、共和党が労働コストを削減したいという大企業の要望に応えたためである。つまり、移民増加には合理的な理由がある(陰謀ではない)し、共和党も移民を促進したのである。

 

米国の左右対立は、人種構成比という単純な事実だけで合理的に説明できるのだから、それをわざわざ証拠のない、論理的にも破たんしている陰謀論を持ち出して説明しようとしている人たちは、人種構成比という基本的なデータすらも知らない無知か、思考力に致命的な欠陥を抱えている人のどちらかであろう。